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進也は元々が度胸のある性格ではない。やんちゃな秀雄の性格を崇拝して止まないほどである。このところ大胆になりつつある自分を制御しなければとも思い始めている。
とはいえ、ミホが自分にとって容姿も性格もタイプの女性だけに、淡い期待を抱くのも仕方のないところである。
そんな複雑な思いを胸に抱き、この夜もいつもの扉を開く。
「いらっしゃいませ。ご指名はどうなさいますか。」
「ミホさんいますか。」
割りといつも通りの受け答えを済ませて、いつもの通りのシートに座る。
「やあシンちゃん、やっと来てくれた。ずーっと待ってたんやで。今度はいつ来てくれるんか聞いてなかったし。ほんで、次のデートはいつしてくれるん?」
「またしてくれんの?お店の人にバレてない?」
「別に言うてないし。なんも言われてないし、バレても別になんもないで。」
「ほんならいっつもみたいに匂いを確認さして。」
そう言って進也はミホの首筋に唇を這わせた。ミホの独特の匂いが進也の鼻腔を突き抜ける。ミホの匂いは、あの夜の出来事を思い出させる。
「キスしてもええかな。」
「ええよ。こないだの夜を思い出す?」
そう、あの夜のことは進也にとって特別な出来事に違いなかった。
「ちょっと照れくさいな。あのときのキスはボクにとって特別やったかも。」
「ただのご褒美やで。」
そうなのだ。ただのご褒美なのだ。進也は我に返ったようにうなずいた。それでも心のどこかで少し淋しい気持ちもあった。
「あの夜のことは忘れた方がええのかな。」
「お店の中ではな。」
またもや意味深なセリフである。一旦落ち着いた進也の気持ちはまたぞろ期待を持つほどに高潮する。
「じゃあお店の中やから、ミホの綺麗なおっぱいもいつも通り楽しませてな。」
「うふふ。シンちゃんはおっぱい好きやな。」
言わずもがなである。進也は今夜の衣装となっているキャミソールの裾を開いて、小さなビキニの中を確認していく。
「今日もいつもとおんなじように綺麗なラインやな。」
そういって柔らかな丘陵を弄ぶ。進也の唇は再びミホの首筋へと移動し、反対の手は後ろからしっかりとミホの腰を抱きかかえていた。その姿だけを見れば、店に来ているただのエッチな客である。そして進也も、自分がそういう客であることを意識しながらミホの腰を抱いていた。
「今度のデートはどこへ連れて行ってくれるん?」
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