エピローグ

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時は十数年前まで遡る。 古来より争いの絶えなかったクリスタル王国とサンシャイン王国。 時折「才」を持った人間が混じるこの世界での争いは次第に活発化していき、罪のない国民たちへの被害も増えていった。 そして、最後にして最大の戦いの勃発。 長きに渡る争いが終わるきっかけとなったのは 「両王都爆破事件」 である。 両国共に死者負傷者多数。 また、あろうことか両国王共に死別してしまったのである。 生き残った貴族らの話し合いの末、表面上の和解を成立させた。 未だに親密な関係とはなっていないが、無駄な争いはきっぱりと無くなり平和が訪れた。 この事件で忘れてはならないのは、クリスタル王国をその身を呈して救った王国騎士団長の話である。 爆破により燃えた炎が国民の住みかまで移ろうとしていたのである。 燃え盛る炎のなか、自身「極炎」を操る才で王都を覆った。 本来は、炎を放出させ攻撃をしたりするものなのだが、その逆を行おうとしたのだ。 つまりは吸収。 全ての炎を自身に取り込み、消滅させるという算段であった。 しかし、それは禁忌の法。 彼は王国を守る代わりに焼死してしまったのである。 また、この話には語られていないことがある。 実は、彼が最も救おうとしていたのは、クリスタル王国王女だったのである。 彼女は、偶然王都近くの貴族の家に預けられていた。 彼が娘のように可愛がっていた王女を危険な目にあわせるわけにはいかない。 ぎりぎりまであらゆる方法を考えたがその他の方法は見つからず、自分の命と引き換えに この国と王女を救うことを決意。 彼は今も英雄として語り継がれている。 そして、王女は現在18才。 「自然」を操る才を持った彼女は、その美しさと眩い輝きから 「孤高の姫君」といわれ多くの人の憧れとなっていた。
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