雪と、想いが、積もる。

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「すごい……雪ってこんなに降るんだ。」  上京してきて初めて経験する大学1年生の冬、1月もそろそろ終わろうとしていた今日、雪が降った。  大学からの帰り道、もうだいぶ見慣れたはずの荻窪駅から住んでいるアパートへの道が初めて見る光景かのように思えた。すっかり日も落ちて、辺りも暗くなってきた。僕は急いで商店街を抜け、途中にあるコンビニに立ち寄ってから帰宅した。  転がり込むようにして部屋に入り、電気ケトルでお湯を準備して、急いでヒーターをつけて暖を取る。 「なんでこんなクソ寒いんだよ東京はぁ……!」  思わず吐き捨てるように言う。一人暮らししてるけど、普段滅多に独り言なんて言わないのに。それもそうだ。僕の地元、静岡県はこんなに寒くなることなんか殆ど無かったのだ。  とにかく身体を芯から温めた方がいいだろうと思い、シャワーを浴びた。素早く寝巻に着替え、何か軽いものを作って食べようかと考えていると、 ガチャガチャガチャガチャ……  ドアのほうで音がした。一瞬空き巣かと思ったけど、すぐにその可能性を否定した。そうだ、少し前に渡したんだっけ……。
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