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ーーーさても、そんなこんなで入部から一週間が過ぎ。試合考察のレポートは、順調に枚数を重ねていく。
野球観戦部は未だ、部活動としては仮申請の段階にある。7月中旬の審査会、ここで部活動としての目的と実績が認められるまでは、正式な部としては認められない。
故に、学校から下りる部費は少なく、部に財産としてあるのはスコアブックとレポート用紙、それに備品としてテーブルと椅子だけということになる。
西九条曰く、部として必要なものはこれ以外にも山ほどあるとのこと。双眼鏡にカメラ、ハンディカム、ストップウォッチ、スピードガンetc.………挙げればきりがないが、試合分析の精密さ向上のためにはどれも欠かせないものらしい。
そんなわけで、近いからといって、部としてしょっちゅう甲子園に行くわけにはいかない。西九条は阪神ファンではあるが、野球観戦部部長としての自覚は……特に誰に求められているわけでもないのに……凄まじいらしく、部として観戦する試合は経費削減のためプロ野球で無くてもやむ無し……それこそ少年野球や草野球、近所の三角ベース以外ならどこでも良しとするようだった。
………まぁ、せっかくそれ用の部活まで作って阪神を生で見られないというフラストレーションは溜まっていくようではあるが。
ーーー時は移ろい週明けの月曜日となるこの日、俺と西九条、そして一応顧問ということになるらしい香櫨園は、
翌日の『感想戦』の材料を求めて、放課後、ナイター施設完備の近所の市民グラウンドへ向かっていた。
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