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『それと、魔方陣と異界の空間を繋げた。そいつを本来いるべき世界に送り返せ。できるよな?』
その声にエリクは大きくうなずいた。
〝異界の王〟を騙った影は、縛められている光の蔓から逃れようと、もがいている。
『邪なるものを封じる』
かかげたエリクの手のひらに、まばゆい光が収束する。
エリクの足下から旋風が渦を巻いて上空へ舞い上がる。
『この世界におまえの居場所はない! 元の世界へ還れ!』
集まった光を一気に〝影〟目がけて解き放つ。断末魔にも似た〝影〟の絶叫が耳をつく。
黒い霧が辺りに散り〝影〟が魔方陣へと吸い込まれるように消えていった。
「やった……」
取り戻した静寂の中、エリクは荒い息を吐いてその場に立ち尽くす。
どうやら〝影〟を無事元の世界へと送り返すことに成功したようだ。
エリクは空を見上げ、そっと目を閉じた。
「あとは君に任せよう」
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