雪明かりの夜、君を想う

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帰り道、雪がちらちらと降ってきた。 東京に降る、この冬初めての雪。 街灯に照らされた雪を見上げたら、また涙があふれてきた。 そのとき突然バッグの中が震えた。スマホを取り出すと着信中だった。 ――光希だ。 どうしよう。きっと光希は怒ってる。私がずっと無視してたから。 迷っているうちに電話が切れた。私は白い息を吐く。 立ち止まったまま雪を見上げると、またスマホが震えた。 『作ったよ』 文字と一緒に送られてきた画像。 「雪だるま……」 なにしてるのよ。仕事、忙しいんでしょう? そんな暇ないんでしょう? なにしてるのよ。 『梨乃と一緒に作った雪だるま、覚えてる?』 私が返事をしないのに、光希からのメッセージは続く。 『雪の降った夜に部屋抜け出したよな。親にめちゃくちゃ怒られたっけ』 うん、そうだね。懐かしい。 『なんでかなぁ。雪を見るとあの夜のこと思い出しちゃうんだよ』 ああ、光希も覚えていたんだ。 『だから俺、こっちにきてから毎晩思い出す』 私は画面に浮かび上がる文字をじっと見つめる。 『梨乃のこと』
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