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「あ、でもすっげー寒いよ? 雪積もってるし」
「うん。こっちもね」
私は空を見上げてつぶやく。
「今夜は雪が降ってるんだよ」
なんだか繋がっている気がした。
光希の住む街と私の住む街が、なんだか繋がっている気がしたのだ。
「俺の窓からも雪が見えるよ」
同じだ。私たちはいま、同じものを見てるんだ。
「積もるかな?」
「まさか。すぐやんじゃうよ。東京の雪なんて」
「梨乃、雪好きなのにな」
「え、そんなことないよ?」
「雪降るとすげーはしゃいでたじゃん」
「いつの話よ。それ」
電話の向こうで光希が笑う。その声を聞いていたら、私も嬉しくなった。
なんだ。簡単なことだったんだ。
素直に気持ちを伝えるだけで、こんなに楽になれたんだ。
「年末会えるの、楽しみにしてる」
光希の声に私は答える。
「うん。私も」
「一緒に雪だるま作ろうか?」
「光希はいつまでも子どもだね」
でも少し、楽しみだ。
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