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『梨乃。いま何してる?』
久しぶりに届いた光希からのメッセージに、すがるように飛びついた。
私に足りなかったのは、やっぱり光希だったのだ。
そして光希も、私のことが必要だったのだと思う。
いつしか私たちはお互いのアパートを行き来するようになり、そこで私と光希は結ばれた。
やがて二人とも都内の会社に就職が決まり、四年間の大学生活も終わる頃、光希はほとんど私の部屋で暮らすようになっていた。
「就職したらさ、もう少し広い部屋に引っ越さない?」
二人でそんな話もした。
ところが研修期間が終わった光希の配属先は、ここから遠く離れた寒い街だった。
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