雪明かりの夜、君を想う

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『今夜も寒いね』 部屋に帰って、光希にメッセージを送る。 しかししばらく待っても既読の文字は現れない。 離れて暮らすようになってから、私と光希を繋ぎ止めているのは文字だけの会話。 だけど最近、光希からの返信は遅くなった。 「仕方ないよね……」 慣れない街での生活や仕事。きっと大変なんだろう。 私が重荷になってはいけないって思うから、しつこく返事をせまったり、電話をかけたりはしない。 スマホを握ったまま、布団の中にもぐり込む。 エアコンで温められているはずなのに、ひとりぼっちの部屋はなんだか寒い。 窓の外に今夜も雪は降らない。 だけど光希の見ている窓の外には、雪がたくさん降っているのだろう。 そしてその夜、光希からの返信はこなかった。
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