いつの時代も、少年は戦い続ける

2/4
前へ
/5ページ
次へ
 少年は、昂る気持ちを鎮めるように、ほうっと息を吐いた。  冬の空気はキンと冷えて、吐く息が白い。  今から『コタツ争奪戦』が始まる。正しくは、コタツを奪い合うのではなく「コタツに入る権利」を奪い合う戦いだ。  コタツに入る事が出来るのは、一部の限られた人だけの特権であり、少年は何としてもそれを手に入れなければならなかった。  少年はルール説明を続ける声を意識から追いだし、静かに瞑目した。少年自身は初参加とはいえ、争奪戦は毎年行われているのだ。ルールはもう知っている。 ・戦う際は、脚を使う事 ・手を使えば反則負け ・武器の使用は禁止 ・優勝者だけが、コタツに入る栄誉を与えられる  反則負けなど論外だ。足技は十分に鍛えたのだ。  なんとしても勝って、コタツに入る。  それが僕に課せられた使命なのだからッ!  スタート開始を告げる声と同時に、少年は鋭い一撃を繰り出した。  いまここに『コタツ争奪戦』の火蓋が切って落とされた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加