第1章

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「待てって、せっかく来たんだ飯ぐらい食っていけよ」 「え……あ、いいのか?」 「一人作るのも二人作るのも変わらない」 「じゃ……遠慮なく」 俺のぎこちない態度に知幸が怪訝な顔をした。俺は咳払いをして普段言わない「お邪魔します」と言って部屋に入った。 知幸は至って普通じゃないか……俺だけが気にしてるのか? すました顔しやがってなんか腹立つ! 「あれ? どうしたの? おまえらしくないこの散らかり具合……」 知幸は掃除、洗濯が趣味みたいなやつなのに、こたつの上に数本の空き缶と抜いた服がそのままだった。 「……あ、ちょっと忙しくてな。適当に座ってろ」 どんなに仕事が忙しくても、いつも綺麗に片付いているのに珍しいな…… 知幸は手早く片付け、キッチンで晩飯の準備をし始めた。俺は言われた通りこたつに座りスイッチを入れた。 ん? あれって女物だよな…… コートと一緒に掛けられたマフラーを見た。 なっなんだあいつ付き合ってる女性がいるんじゃないか! そういうの昔から言わないやつだったし別にいいんだが…… なんだろう……胸の辺りがもやもやする……
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