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バンドを組んだのは4度目か、5度目か、もう数えるのも面倒なのだけれど、確実に言えることは今のバンドも年を越す事無く空中分解するだろうと言うことだった。
シャッターの目立つ駅前のアーケードで夕飯の惣菜は大体手に入る。大丸ピーコックを素通りして、後は北口から井の頭線でちょっと乗るだけだ。背中に担いだテレキャスターがチャリの爺さんとぶつからないようにエフェクターボードでガードする。これだって以前金欠で泣く泣く手放した中古のファズを5000円で買い直したばっかだから、潰されたらたまったもんじゃないんだけれど、ギター潰されるよか何十倍もマシだから仕方ない。ビッグマフはそんなに柔じゃないと信じつつ、常連のよしみで半額にしてもらったかき揚げと賞味期限切れスレスレのうどんの生麺が入った袋をケースの裏に隠した。自分の名刺のように思えて恥ずかしかったからだ。
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