雪音の調べ

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玉岡君は同期の中でも特にエリート街道を歩んでいて、言われたことしかできない私とは違う。新卒の可愛い子を営業アシスタントにすればいいのにいつも私を付けたがる。その為か暗黙の了解のようなもので玉岡君のアシスタントはばーやというイコールで結ばれている。同期同士をつけてもいいのかという私の疑問に「まぁ、ここは実力主義だからな。」と主任の一言で片付けられてしまった。私の実力不足ってことかと納得する。 「馬場さん。少しだけチカラお借りできるかしら?」 女性の中でも特にソプラノの声に分類されるであろう声のトーンの持ち主で唯一、あだ名で呼んで来ない一つ後輩の南さん。昔やんちゃしてたのか染めても染めても髪の毛の色が暗くならず主任がボヤいていたのが記憶に新しい。 「ええ、構わないわよ。何かしら?」 「先方から来たメールが英語じゃなくて多分、ロシア語?で来てるみたいで私、ロシア語は流石に分からなくておつぼねに聞いたら馬場さんが読めるよって教えてくれて」 さすがにおつぼねと呼び捨てにする所は小声にしたものの隠す気のないその女性特有のトーンは響き、主任の眉間が少しよっている。 「あー私も完璧ではないけどそれでもいいなら訳すわ。メール転送してくれる?」 「あ、もう転送済みです!」 素早くメールを開くともう届いていて、おねだり上手南の名に恥じない早さだと関心しなから添付ファイルを開いた。ざっと目を通して、15分後までには南さん宛に送り返します。と返事をすれば満足したのかありがとうございますと一応感謝の気持ちを述べて席へと戻っていった。
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