おしまい

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 夢にしてはリアルで。  私は呆然と眺めていた。 「でも夢なのかも……」 「呼ぶのが遅すぎる」  視線を前方に戻せば、『私』が居たところに白い着物の玉彦が腕組みをして不服そうに佇んでいた。  誰のせいでこんな目に遭ったと思ってんのよ。  元はと言えば玉彦が……。  言いたいことは山ほどあったけれど、私は拝殿の廊下から降りて彼の前に立つ。 「これは持って行け」  玉彦は袂から、あの青い紐の鈴を取り出す。  でも、もうそれは私は持つ資格ないし。  投げ付けたし、会わないって言われたし……。  手を差し出さない私に、玉彦は眉間に皺を寄せて無理矢理押し付ける。  仕方ないので受け取る。  ちりりと小さく鳴らせて、私は玉彦を窺い見た。 「もし鳴らせば、返事してくれる?」 「当たり前だ」  どうして当たり前なのか、不思議でしょうがない。  来るなと言ってみたり会わないと言っていたのに。
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