妄想少女、提案に乗る

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 ガメツは、自分の耳はいいほうだと思っていた。清士郎が自分に対して投げかける、ツッコミという名の誹謗中傷は一字一句聞き逃したことはないし、金目の話を聞き逃してはならないというポリシーから、たいていの言葉には瞬時に聞き取って理解できるつもりだったのだ。  しかし。今、目の前の地味な少女が発した言葉は、何秒、いや何十秒かけても到底理解できるものではなかった。 「えーっと......藍野島 飛行(あいのとう ひこう)さん?変わった名前なんですね......?」  先に反応したのは、清士郎だった。普段の落ち着いた態度が崩れ、顔には引きつった笑みが浮かんでいる。
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