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金欠青年、田舎を行く
「ツチノコ。胴体部分が膨れ上がったヘビで、毒を持つとされる。2メートルのジャンプ力を持ち、尾をくわえて転がるように移動することもある、か……」
無人駅を降り、道なりに歩きながら、清士郎はそんなことをつぶやいた。
「目撃談は全国各地にあるみたいだけど、いまだに捕獲されたことがないっていうのは不可解だね。僕たちだけじゃなくて、もっと多くの人が探してても不思議じゃないのに」
「だからこそ懸賞金が高いんだろ。絶対に見つけるぞ、清士郎。ここまでの電車賃を無駄にしないためにもな」
「君は本当にお金のことしか考えてないね……」
辺りは一面、のどかな田園が広がっており、ところどころに農作業をしている老人の姿が見える。いかにも平和的な光景で、ツチノコ探しなど忘れて昼寝でもしたほうが気持ちいいのではないかと清士郎は考えた。
そんな友人に対し、ガメツは語気を強くして呼びかける。
「乗り気じゃないみたいだな。なんなら帰ってもいいぞ、分け前が増えるからな」
「そうは言ってもねぇ。僕も僕でお金が必要な研究してるから。僕に研究資金が入れば、君にもメリットがあるはずだろう?」
「それもそうだな。いや、そもそも、そのためにお前を連れてきたんだったな……」
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