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「実は構成で悩んでるんだけどさ」
「はい」
「小早瀬さんは3人の女性とそれぞれ2回ずつ会ってるんだけど…」
佐島が美鈴を見ると、眉間に皺を寄せている。
「それ、3人じゃなくて2人にできません? 」
「ダメだよ。
いくら週刊夕日でも人数まで変えちゃ。
俺だって不本意だけどさ」
「まあ、そうでしょうけど」
「えーっと、それで!
女性をA、B、Cとするじゃん?
豪雨の日に、小早瀬さんに取材して聞いた話は、ABCABC…って時系列に続いて…。
その3日後の暴風の日に、それぞれ女性側から聞いた話を、それぞれA´、B´、C´とすると…」
「言いたいことわかりましたよ。
女性別に纏めるんじゃなく、
もちろん取材したタイミングでもなく、
全て時系列に書くのがいいと思います。
AA´BB´CC´AA´BB´CC´…って」
「豪雨暴風・豪雨暴風……
でもいいってこと? 」
「そう。
小早瀬さんが体験したことと、その時々、相手の女が何を考えてたか、それを時系列に纏めたほうがわかりやすいと思います」
「そっか、じゃあ、そうする。
ありがとう。
それと、今夜付き合って」
「え゛、バカ、
声、大きい…! 」
顔を紅くし、キョロキョロ周りを見る美鈴を置いて、佐島は席を立った。
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