重 婚 活！

相談所

取材日より、さらに遡ること二ヶ月前のある日、
俺、小早瀬明広(こわせあきひろ)は初体験の空間で、柄にもなく緊張していた。－－－

「すぐにアプローチがあると思いますよ。
　小早瀬様、ご条件がよろしいですし」

「え。そうですか？　」

初めて来た結婚相談所。
…というと言い方が古いか。

横文字の並ぶ企業名に、明るい色調の窓口。

目の前で俺の話を聞く女性は『マリッジコンサルタント』と肩書を名乗った。

「でも、もう４４ですよ」

「いえいえ、お若く見えますよ。
　平たい言葉で恐縮ですけど、小早瀬様、イケメンですし、それに趣味の欄にも書いていただきましたが、ジムに通われてますよね。
　お顔だけで全身の写真を掲載するわけではありませんが、この顔写真から、どの女性の会員様も小早瀬様が引き締まったプロポーションをされてること、想像つくと思うんです。
　そうですね…。
　今、登録が完了いたしましたから、そろそろアクセスがあるかも。
　もう午後からメッセージが入るかもしれませんね」

マリッジコンサルタントの荒木さんがiPadのような端末で俺のデータを見ている。

アクセス状況もわかるらしい。