第雪話 おもちゃは箱を飛び出して

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給食を食べて、帰りの会を終えた僕たちは、夜に備えるべく、各々自宅へと帰った。 僕は家に帰ってから、算数の宿題をやった。 16時頃、お母さんも仕事が早上がりになったみたいで帰ってきた。 お父さんも、18時には帰ってきた。 それから3人でカレーを食べて、お風呂に入った。 僕は部屋で勉強するから邪魔をしないで、とお母さんに伝えて、2階にある自分の部屋に入った。 ようやくこの時がきた。 部屋の窓を開けてベランダに出る。まだ雪は降り続いていて、駐車場の車は半分埋まっていた。 『うひょー!これは、燃えるや!』 そして上に着ていた服を脱ぎ、上半身裸の状態になった。 お腹の上の方に力を込めて、ふうっ、と息を吸う。 と、ぼわっ、と体が炎に包まれた。 これが僕の秘密。全身が太陽の様に燃える。お母さんもお父さんも知らない。 この状態の僕は、とても軽い。空気が膨張しているからだ、って、理科の授業で習った。 だからベランダからだって、学校までひとっ飛びさ。 外が寒くたって全然へっちゃら。だって、僕は太陽、燃えているからね。 電気を消して、準備をして、僕はベランダを飛び出した。1年生の頃は、何度も着地とジャンプを繰り返さなきゃいけなかったけど、今じゃ1回のジャンプで学校に着く。 僕が校庭に到着すると、もう他のみんなも集まっていた。 『おう、太陽!今日も暖かそうだな、暖めてくれ!』 鼻水を垂らしている秋人が、震えながら寄ってきた。こんな時でも半袖半ズボンだ。 『アホか、自分が悪いじゃん!厚着してこい!』 僕は笑いながら、ふわりと上空へ逃げた。 『アホはどっちだ!おれから逃げられると...思うなよっ!』 秋人はガチガチに固めた雪玉(というより氷玉)を全力で投げた。 その玉は僕の顔面に直撃した。 前を見るために、顔の周りの炎はかなり薄くしていることを秋人は知っているのだ。 薄い炎では氷を溶かしきれず、頭に弾丸を食らった僕はへろへろと地上に落下した。 『へへん。俺が玉を外すかよう。』 そう、それが秋人の能力。投げたり蹴り出したりしたものは絶対に命中する(その目標物が見えている場合のみ)。 『恐れ入りました。どうぞ、暖まってください。』 秋人は僕の炎で暖をとる。 すると、周りのクラスメートたちもわらわらと集まってきた。 『暖かいなぁ。』『本当。』『太陽の能力は冬にもってこいだな。』
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