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『そんなの、本当の宇宙じゃない』
――えっ。
その声は、抱えていたサボテンの鉢から伝わってくる。
『明はどうしてこんな狭い場所に閉じこもっているの。宇宙はもっと広いんだよ。押入れの外に地球があり、その外に太陽系があり、その外に銀河系があって、そんな銀河が無数に集まって宇宙は無限に広がっている』
「だって恐いんだ。新しい世界に出て行くのが恐いんだよ」
明は鉢を抱え込んだ。
小学生のころから人付き合いは苦手で、なかなか友達がつくれなかった。中学に上がったら、新しい人間関係をきずけるかと不安だった。結局、明はクラスからはみ出し、自宅に閉じこもったのだ。
『地球人はそうして成長していくんでしょ。学校を卒業して、会社に就職して、結婚して、子供を作って、そうやって人生の花を咲かせていくんじゃないの』
「――はな?」
『ぼくの人生の目的は、自分の頭に花を咲かせることなんだ。地球人の人生とは違うかもしれないけど、立派な花を咲かせるために努力する。明くんが新しい世界に出るため努力するのと同じだと思うよ。ぼくもがんばるから、明くんも、学校に行けるようにがんばろう』
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