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俯いていた月陽は、ふとその顔を上げる。
目の前には、優しかった小椋と高見沢。
感極まって、その顔をぐしゃぐしゃにしながら、月陽は二人に飛びついた。
「今まで、あり、がとう、、お父さ、ん、、お母、さ、ん」
「うわあん、月陽ぃ・・・」
高見沢もつられて大声で泣いた。
小椋は、月陽の頭にそっと手のひらを乗せて、ゆっくりと撫でた。
月陽の感触を、いつまでもその手に焼き付けるように。
やがて、月陽自らゆっくりと二人から離れると、その瞳に涙を溜めたまま、にっこりと微笑んだ。
「最後に、お父さんとお母さんも、笑顔を見せて」
そう言って、月陽は少し首を傾げてみた。
高見沢は涙が止まらず、その笑顔は引きつってしまう。
小椋も、我慢の限界を超えてしまい、笑顔を向けながらも、その頬を一粒の雫が伝う。
五、六歩こちらを向いたまま後ずさった月陽が、勢いよく踵を返すと、右腕を瞳に当てながら、カレナの元に走っていった。
月陽の手を取り、カレナは光の筒の中に入ると、皆に語りかけた。
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