消えたパーティー

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消えたパーティー

僕は、携帯電話を弄っていた。日中のお勤めを終え、飯と風呂も済ませた僕は、床に入ろうとしていた。携帯電話をテレビに切り替えて、流れてくる番組を見ていた。そのうちにニュースになって、雪崩発生現場から遺体が見つかったというものだ。そのうちに、亡くなった登山客の顔が画面に映し出された。「どこかで見た顔だ」と思った僕は、それをスクリーンショットしておいた。もういいだろうと思った僕は、電源を切ってそのまま寝た。 その未明も戸の前で男が現れた。僕は、ドス黒い顔をした男の写真を撮ると床に戻り、二度寝した。 次の日、洗顔・トイレ・朝食を済ませてから、画像を見た。僕は、背筋が寒くなった。ニュースで報道された死者が、今まで現れた男たちなのだ。亡くなる前は青白くて、死後は黒い顔をしてたのだ。「あんな思いをして死ぬくらいなら、最初から登らなければ良かったのに」と思った僕は、ただ時間が過ぎていくだけなので、残りの食料を点検した。 ポテト・パスタなどの穀類・ふりかけやワカメ、昆布、ビーフジャーキーなどといった乾物はあと1週間分しかない。僕は明日から下山することにした。今日で最後の山小屋生活ということで、少しずつ後片付けをして一日を過ごした。 次の日の朝、最後の晩に現れなかった男のことを気にかけずに身支度整えて山小屋を出た。僕は、麓に着くとそのまま公共交通機関を利用して帰宅した。家に帰った僕は、とにかく飯と風呂を済ませ床についた。 次の日、朝食を食べ終わったら、例の山での体験を記事にして、書き終わったら投稿した。科学的に説明できない事だから、誰も聞かないかもしれない。「大の男が、何を寝ぼけてる!」「お前の頭は、おかしいのではないか?」とコメンテーターたちから批判が来るのを覚悟して、その原稿作成に時間をかけた。 原稿を書き終わったら、掃除・洗濯と他の雑用で一日を終えた。スイッチを入れたら簡単に用が済む便利な家へ亡くなった男たちが来ることはなかった。「あの山小屋は呪われてるのか?」と思った僕は、その山小屋の位置も確認した。 とにかく、僕は怪現象から解放されたのだ。僕は、ディレクターの方にこの話を聞いて貰おうと考えた。 次の日、僕は大雑把に企画書としてその体験談を纏めた。その後、テレビ局に出社すると局長へ一か八かの勝負で提出したのである。
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