冬山登山

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次の日、窓から日が差して目が覚めた僕は、用を済ませたら携行食を食べた。腹ごしらえが済んだ僕は、山小屋を一通り見回した。ここは、電気も水道もガスもないため、それを自分で確保しなければならない。 まずは、暖炉に焼べる薪を調べた。原木はあるのだが、薪は自分で割らないとならない。他にも水回りを調べてみた。普段なら山肌から湧く水を汲んで、それを生活用水としているようだが、今は雪を集めて溶かした方が手っ取り早い。トイレも汲み取り式で、これまでの使用者は、便槽におがくずを入れて屎尿を二酸化炭素と水に分解させているようだ。明かりは、暖炉の火か、自分で持ち込んだ照明器具を使うのだ。 だいたい要領が分かってきた僕は、五右衛門風呂の中に雪を集めて溶かした。他の容れ物の中にも雪を入れておいた。水を確保した僕は、簡易ソーラーパネルを設置してそれを配線した。電源も水も確保したら、次は暖房対策だ。薪割りをして、その一部を風呂焚きに使った。暖炉に焼べて小屋の中が暖かくなったら、日が暮れていった。垢だられの体を五右衛門風呂で綺麗にして晩飯も食べ、久しぶりの歯磨きもして寝ることにした。今日もひどく疲れたので、ぐっすりと眠りについた。僕が物の怪に囚われたのはその晩からである。
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