悪夢

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悪夢

ある日、僕はハッと目を覚ました。雪崩が起きて、僕が山小屋ごとのみ込まれる夢を見て、そこで気がついたのだ。起きて、外を見てみたが、何の変哲もない。 せっかく起きたところだから、顔を洗って朝食を食べると、掃除・薪の点検・狩りと一日を過ごした。イノシシが手に入ったので、それを解体して猪鍋とした。汗掻いた体を五右衛門風呂で癒し、猪鍋を食べたら、床についた。 金縛に付き物の亡霊は見なくなったが、猛吹雪の山道を彷徨うとか、雪崩に巻き込まれるとか、ロープが切れて氷壁から転落するとかの夢ばかり見る。 場所が場所だけにそういう夢は、心臓に悪い。心臓に毛が生えている僕は、それを気にせずに山小屋生活を過ごしていた。ある日の晩、山小屋の辺りを吹雪が襲った。入り口の戸がガタガタと音を立てている。「天気が悪いから仕方ないか」とタカをくくっていた僕は、その音を気にせずに寝た。 その晩、戸の外から何か人の声が聞こえる。熟睡していた僕は、その声は聞こえないまま、次の日の朝を迎えた。 いつものように洗顔・食事・洗濯・水と薪の確保していると日が暮れていった。床に入った僕は、夜中になるとトイレしたくて目が覚めた。トイレを済ませて戻ってくる途中で、戸がガタガタ鳴っているのに気がついた。戸を開けてみたが、風など吹いてはいない。地面を見ても、足跡すらない。ネコかネズミの仕業かと思った僕は、そのまま二度寝して次の日の朝を迎えた。 念のために戸を開けてみたが、人が来た痕跡がない。「まぁいいか!」と思った僕は、また自足自給の生活を過ごして床についた。相変わらず日中の重労働で深い眠りについた僕は、戸の外から聞こえる人の呻き声には気づかずに次の日の朝を迎えた。たとえ聞こえたとしてもネコ同士の喧嘩としか考えない僕には、どうでもいいことだと切り捨てるからである。 金縛に慣れた僕は、暖かい床の中で自分の脳が作る夢を見た勢いで起きて、次の日を過ごすのである。
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