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雪原
目が覚めて、洗顔と朝食を済ませた僕は、いつものように掃除、洗濯、水・肉・薪の確保で一日を過ごした。疲れた体を五右衛門風呂で癒し、今日採れた獲物を使った鍋で腹を満たして寝る。
深夜になって、トイレしたくて目を覚ました僕は、用を済ませて床に戻ろうとした。また戸がガタガタ鳴っているので、戸を開けてみた。そこには、スキーウェアを着た男がいた。僕は、「こんな時間に、何の用があるのか?」と聞いてみた。男は何も答えずに遠くへ去っていく。「せっかく来たのに、何処へ行くんだ?」そう男に向かって言ったのだが、振り向きもせずにそのまま雪原の方へ歩いて行き、しまいには見えなくなった。男に対して、何のもてなしもできなかった僕は、そのまま床についた。
次の日、目を覚ました僕は、朝食を済ませた後、男がいた所に行ってみた。雪原の中を歩いたはずなのに、足跡がない。昨日のは何だったのだろうと思いながら、いつものように家事をして昨日の残った鍋を食べて床についた。
今夜もやはり戸がガタガタ鳴ったので、戸を開けてみた。今度は違う男がいる。「何でわざわざこんな時間に来るのか?」とその男に聞いてみるのだが、やはり黙って雪原の向こうへ消えた。「僕は寝ぼけているのかな?」と思いながらもトイレを済ませて床についた。
次の日の朝を迎えると、男がいた所に行ってみた。やはり足跡がない。「今度こそ証拠を突き止めるぞ!」と思った僕は、その日の家事をして、風呂と晩ごはんを済ませたら、男が出るのを床の中で待った。
しかし、今夜は男が現れなかった。拍子が抜けた僕は、そのまま寝てしまい、朝寝坊してしまった。来て欲しい時には来ない男に腹を立てた僕は、残り少ない日中をムダがないように家事と風呂・晩ごはんを済ませて寝た。
男が出るのを待っても自分の体調が悪くなるので、自分が決めた時間に寝る事にした。そしてガウンのポケットには、フイルムカメラを入れておいた。そして、充電しておいた携帯電話を枕元に置いた。男が現れたら、撮影するつもりでいる僕は、その男が出るのを待ち構えながら床についた。
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