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しかし見えるのはサトルの姿だけで、SNSの相手の姿はまだ見えない。
「どんな顔しているの」
「見せたくない」
「見せて、ぼくも見せるから」
自撮りした写真を送るサトル。
やがて、相手からもピロロンと音がして写真が送られてくる。
開いてみると、高校生くらいの女子の写真。
× ×
サトルが床を見下ろすと、そこには写真の女の子が別人のように歪んだ形相で転がっている。
「もったいないな、結構かわいいのに」
と、女の子の眼がくわっと見開かれる。
仰天するサトル。
床の上の女の子がぬうっと空中に浮かんできてサトルと福の神の傍らに寄ってくる(福の神には気づいていない)。
「君の名は」
「レオナ」
「君がみんなを集めたの?」
「私が集めたんじゃない、自然に集まっただけ」
「自分の名前、おぼえているんだ」
「おぼえてないの?」
「いや、ぼくの名前はサトル」
「サトルっていうんだ。おぼえてないの?」
「なんであたしがあなたの名前をおぼえていなくちゃいけないの」
「だって」
「だって、なによ」
「ここにいる、(自分を入れて数える)四人はきみが集めたんじゃないの」
「かもしれないけど」
「かもしれないって、何だい」
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