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「ネットで集まるのに名前知ってる必要ないでしょ。早い話、今言ったサトルって名前だって、本当かどうかわからない」
「ウソは言ってない」
「なんでわかるの」
ぬっと福の神が横から顔を出してくる。
「俺が教えたからだ」
その顔を見て凄い形相で悲鳴をあげるレオナ。
「ギャアアアア」
「悲鳴あげることないだろう、初めて会うわけじゃあるまいし」
「あんたなんか知らないわよ。気持ち悪い」
「そうか?」
「そうですとも」
「それは、まずいな」
福の神が妙に思わせぶりな顔で言う。
「何がまずいっていうんだ」
「おまえら、地獄行きだぜ」
「地獄? 何を言ってるんだ」
「正確に言うと、地獄にも行けない」
「わけがわからない。思わせぶり言ってないで、ちゃんと説明しろ」
「そうね、まず、あななたちどうして死んだの」
「どうしてって」
サトルとレオナ、顔を見合わせる。
「わかるわけないじゃない」
「なんでわかるわけないんですか」
「だって、おぼえていないんだから」
レオナがサトルのセリフを引き継いで言う。
「おぼえてない」
福の神がにこにこしながら答える。
「そう、おぼえていないのねえ」
「その気色の悪い笑みを消せ」
「別に笑っているわけじゃありません、これが地で。ところで」
ちょっとだけまじめな顔になる。
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