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「なんでまずいかっていうと、成仏するにはそれまでの人生を振り返って精算する必要があるからです」
「精算？」
「そう。閻魔大王とか、最後の審判とか、まあ人間たちはいろいろ言ってくれてるけれど、とにかく人が死んだらどうなるか決めるには、どういう風に生きてきたのか、知らないといけないよね」
「そうなのか？」
「そりゃそうでしょ、いいかげんに生きている人間と、まじめに人のために生きている人間と一緒くたにさせたらたまらない」
「うーん」
「と、いうのは人間の考えだけどね」
「なんだ、それは」
「つまり、本当にそんなルールがあるかっていったらわからないってこと」
「わからないって、おまえがそう言っているんじゃないか」
「だって、俺が本当に存在しているのかどうかなんてわからないだろう。当然、俺が言っていることが正しいかどうかもわからない」
「わけがわからない」
「まあ、話を戻そう。とにかく、死んでからどうなるか決めるのには、どう生きていたのか調べがついていて、それを当人が納得する必要があるってわけだ」
「調べはついているんじゃないのか」
「誰が調べるんだい？ 君たちが『神』とか言っている者がかい」
「よくわからない」
「とにかく、とりあえずその人間がどう生きてどう死んだのか調べにあたるのは私だ。ただし決めるのは私じゃない」
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