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レオナがむくれたように口をはさむ。
「じゃあ、誰」
「さあ、誰だろう」
「もったいぶるのはやめてくれ」
「きみたちは会社に勤めていたかい」
「おぼえていない」
「とにかく、大会社の平の会社員が社長と直接会うってことあると思うかい」
「それで、調べがつかないとどうなるんだ」
「知らない。知らないけれど」
「けれど、何だ」
「どこにも行けなくなるのだろうな」
「え、ということは」
突然、福の神が心霊写真の幽霊みたいな姿になる。
それも、ひとつだけでなく、次々と違うおぞましい姿に変わって見せる。
長い髪を振り乱した女、膨れ上がった水死体、解剖の途中で投げ出されたように頭や腹のあちこちが切り開かれた死体、などなど。
不意をつかれて宙に浮いたままサトルとエリカは腰をぬかす。
「まあ、いわゆる成仏できないでいる死んだ人間の姿だが」
しゅっと元のにこにこした福の神の姿に戻っていわく、
「今のは人間たちがよく見る姿を再現して見せたわけだが、どうだい似ていたかい」
「バカやろう」
サトルが腰が抜けた反動で激怒して怒鳴る。
「死んじまえっ」
エリカが続いて怒鳴った。
「うーん、難しいなあ」
すました顔で福の神は答えた。
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