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「死ねと言われても、何しろ、俺は生きているのか死んでいるのか、いるのかいないのかわからないのだからな。繰り返すけれど。それに」 「それに、何だ」 「きみたちだって似たようなものだよ」  サトルとエリカ、むっとする。 「どうしてきみたちは死んだんだ?」 「…」 「…」  黙り込むふたり。 「たぶん」  エリカが口を開く。 「集まって自殺したんだと思う。いじめられたりして、悩みを抱えた者が集まって」 「思う、か」  相変わらずにこにこしながら福の神が言う。 「なんでそう思うんだい」 「だって、ネットで集まった記憶があって、いじめられた記憶があって、こうやって何人も人気のない場所に集まって一度に死んでいるんだから」 「なるほど、そう推理するわけだ。で、どうやって死んだのかな」 「練炭は、ないな」 「練炭って何だか知っているのかい」 「知ってるよ」  エリカが口をとんがらせる。 「毒ガスが出るんでしょ」 「今どき、あんまり使われていないけれど、自殺用ってことで有名になったものだな。だけど、違う」 「一酸化炭素中毒で死ぬには、風通しがよすぎるよ」 と、周囲を見渡す。 がらんとした、窓が敗れたビルの廃墟。 「じゃあ、集団自殺じゃないってこと?」 その時、突然まだ床に転がったままでいた二人のうちの一人(ヒロミ)が跳ね上がり、宙に浮いてくる。     
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