真冬の怪異（弐）

南無阿弥陀仏

捌ききれないほどの亡者が押し寄せたため、閻魔大王の命により地獄の門が一時閉鎖された。

行き場を失った亡者たちは、地獄の門の前で門が再び開けられるのを待つ者と、現世に戻って行く者とに別れる。

雪が深々と降る現世に戻って来た亡者たちは、雪に覆われた原野を彷徨。

雪の夜、放射能で汚染され雪に覆われた焼け野原の地下深く。

モニターに映し出された亡者の群れを見ながら、核シェルターに逃げ込めた少数の者達は皆、手を合わせ「南無阿弥陀仏」と唱えるのであった。