気配

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足跡の主はカメラから視線を外した。 レンズ越しに見られている気配が無くなる。 見られている感じが無くなってホッとした途端、門の脇に設置されている呼び鈴が押された。 ピンポーン! 姿は見えないが、呼び鈴を押しているのは門の前の足跡の主だ。 俺達3人は顔を見合わせ、皆が首を小刻みに横に振る。 また鳴った。 ピンポーン! 通常呼び鈴が鳴らされた場合、カメラで姿を確認したあとインターホン越しに来訪の用件を聞き、用件によっては監視ルームに隣接する警備員控え室から武装警備員を出迎えに行かせるのだが、今回は呼び鈴を無視する事にした。 ピンポーン! また鳴る。 俺達は顔を見合わせながら、首を小刻みに横に振り続けた。 3度呼び鈴が鳴った後、門の前から足跡の主の気配が消える。 いなくなったと思い肩の力が抜けた瞬間、俺達の後ろに今までカメラ越しに漂っていた気配が現れた。 俺達は息を詰め身体を竦ませ、気配はするが何も見えない空間を凝視する。 ………………………………………………………………………… 何も見えない空間から、唐突に声が発せられた。 「スイマセン、ミチヲオシエテクダサイ」
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