7月の日

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 仕事の休憩中、仄かにバニラのような香りがする煙を燻らせながら了二はふと去年までの事を思い出していた。  一年前の今頃まで了二と恵美子は共働きだったのだ。 ―――懐かしい話である。 早く帰宅した方が晩御飯を用意し、掃除や洗濯等は手分けして行っていた。こう聞くと共に同じ程度の負担のように聞こえるがそれは違う。了二と違って恵美子は女である。小さい頃から趣味で色々なスポーツをやっていた了二は力も体力もあり、仕事の後も家事をこなす体力は十分に残っていた。その上人類は鼻の長い生き物を狩っていた頃から男が外に出て働き女は内でそれを助けてくれていた。勿論例外もあるだろうがほとんどの人間がそうやって過ごしてきた。女は働くのに向いていないだろう。故に恵美子は仕事後疲れているはずであり、負担も大きいはずなのだ。 「さて、皆大好き仕事タイムっと」  もう少しで一段落つきそうだな。  そう考えながら了二は煙草の火を消し先を優しく切り落とし、愛用のケースに入れた後重い足取りでオフィスへと戻っていった。
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