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自分には本当の友達なんていない。ルイーズ・ワイルダーは心からそう信じているし、そう考えるたびに落ち込む。
友達なんて信じなくなった理由は多々あるが、一番辛かったのは十二歳の誕生日の日。誕生日が一日違いの少女とプレゼント交換の約束をして、ルイーズは待ち合わせ場所のケーキ屋の前に立った。ここは子供たちの溜まり場で、クッキーを一枚でも買えば優しい店長がおまけしてくれる。おこづかいの少ない子供にとって、比較的安価でお菓子が食べられる場所だった。
そこに来た友達(だと思っていた)少女は、手ぶらで来た。ルイーズは首を傾げながらも、彼女の誕生日を祝うためにプレゼントを差し出した。
「ハッピーバースデー!」
「ああ、ありがとう」
少女は無表情で受けとる。やはり何かがおかしいと思ったが、ルイーズは笑顔を見せた。
「ごめんね、私はプレゼントを忘れてきちゃった。後であげるからさ」
……忘れた? ルイーズは目を見開く。この計画は二週間前からしていて、準備する機会はいくらでもあったはずだ。しかし目の前の少女は目を逸らし、気まずそうに言っているように見える。
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