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今、横一列に並んでる池元班は私含めて5人いた。
そして係長合わせて6人。
あと1人足りないのだ。
「あと1人はね……」
日野さんが私の問に答えようとした時だ。
会議室の正面のドアが開き、そこから続々と管理職クラスの捜査員達が入ってきた。
その中には池元係長の姿があった。
私達、捜査員全員は彼らが入って来るなり、すぐに立ち上がった。
「あの人を見てごらん」
日野さんが私の耳元に近づき、囁くように言った。
私は日野さんの視線の先にいる人物に注目した。
年は40代前半で背が高くガタイのいい男性に見えたが、その人が誰なのかまだ分からなかった。
「あの人は猿渡管理官。恐らくこの事件はあの人が陣頭指揮をとるはずだ」
「はず?はずって何ですか?」
私がすぐにそう聞くと、日野さんは口では答えずに目で前を見ろと促した。
すると、次に現れた人物に日野さんの答えがあった。
「本多一課長……」
本多一課長の姿を目にした時は周りがざわめいた。
「普段は猿渡管理官が指揮を執るんだ。だけど今回は一課長直々に陣頭に立つ。それはつまりこの事件の重大さを意味しているんだ」
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