第1話 池元班

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最後の1人が入って来ると、その人がドアを閉めた。 「気をつけっ!」 池元係長の怒声に周囲のざわめきが一瞬にして静まりかえった。 「一課長殿に敬礼っ!」 係長の声と同時に、一課長に敬礼した。 「これより、捜査会議を始めるがその前に一課長より、お言葉がある」 そう言って、池元係長は一課長に一礼した。 「これで三度目だ。諸君……三度目だ」 長机の中央に立つ本多一課長が重々しい雰囲気で口を開いた。 「まだ死体はあがってきてはいないが、事件の流れから察するにいずれ、報告があるだろう」 一課長の口調はとても穏やかそうに見えたが、どこか冷たさを感じた。 「“二度あることは三度ある”ということわざがある。あるが…………犯罪はそうあってはならないっ!」 本多一課長の怒声が会議室全体に響き渡った。 「犯罪者を野放しにしている限り、四度目五度目と飽きるまで殺人を繰り返すだろう!だが、それを食い止めるのが我々の役目だ。人の皮を剥ぎ取る得体の知れない殺人鬼に教えてやろう。「貴様の隆盛もそこまでだ」とっ!!」 「はいっ!!!」 捜査一課長の一喝によって、全員の闘志が沸き上がった。 無論、私も含めてだ。 早く現場に出たい。 犯人をこの手で捕まえたい。 振るい沸き立つ闘志に身体は燃え上がり、衝動が抑えられなかった。 私はその衝動を必死で抑え込む様にして、捜査会議に望んだ。
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