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捜査会議が終了して、約1時間後の事だった。
私と影原警部補は車で第1の被害者の皮があったとされる多摩川へと向かおうとしていた。
しかし何故、第1の被害者なのか………
あそこは他の班が担当しているから、私達が来たらまずいのではないのか。
訳が分からぬまま、私はカーナビの指示に従いながら運転していた。
後ろの席では影原警部補が横に寝転んで調書を読んでいた。
車内はとても気まずい空気で蔓延していた。
誰も喋らず、強いて言うならカーナビの声のみが1人で喋ってる感じだった。
だが、そんな気まずい空気なんかを諸共せずに影原警部補が喋り出した。
「なぁ、お嬢」
――お嬢っ!?
「は、はい、何でしょうか?」
突然、呼ばれて私はビクッと驚いた。
「フハハハ、おいおい、良い大人がお嬢で反応するなよ」
影原警部補は後ろの席で、私の反応を見て楽しんでいた。
遊ばれてる私は勿論、腹が立った。
「まぁいい。今日からお前の事を“お嬢”と呼ばせて貰うよ」
「やめてください」
私は無表情で言った。
「怒るなよ。お前を呼んだのは本当だ。聞きたい事があってな。さっきのドーナツだがどうしてゴールデン・チョコレートがなくて、プレーンが入ってたんだ?」
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