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「人事課長。私の捜査一課長就任の件なんですが………」
私は緊張をかき消そうと目を閉じて、平常心を整えた。
「お引き受けします」
私の一言に人事課長はニヤリと笑った。
「過去を話してる内に、決心を固めたようだな」
「ええ、あなたには感謝してます。忘れかけてた私の原点を思い出させてくれたのだから」
私の原点……
警察官になった志………
一般人から犯罪を守り、事件を早期に解決し、犯罪者を逮捕するのが、かつて刑事になった頃に決めた志だ。
けれども、事件につぐ事件で私はその志を忘れかけてた。
だけど、過去を話すことによって思い出す事ができた。
この志を貫けるのは捜査一課長の椅子に座るしかない。
捜査一課長という重責にぐらついてた私の心は、いつの間にか固まっていた。
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