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私の怒りはいつの間にか消えた。
代わりに恐怖で寒気がした。
怒られるかもしれないという恐怖だ。
影原警部補はいつの間にか姿勢を元に戻しており、バックミラーから見える彼の鋭い眼光に震えが止まらず、ハンドルを握りしめるのがやっとだった。
だけど、黙っていても仕方がない。
私は正直に答え、ちゃんと謝罪した。
「申し訳ございません。ゴールデン・チョコレートが品切れでやむお得ず、プレーンを選びました」
「どうしてプレーンだ?」
「プ、プレーンにしたのは……か、係長からいつも渡されたメモのリストしか食べないからと……だから、たまには違う物と思い……」
「なるほどな……」
「お、お気に召しませんでしたか?」
すると男は鋭い目付きから、優しい目付きへと変わり、ニヤリと笑った。
「いや、良いチョイスだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の緊張は消え失せた。
「なんだよ。怒られると思ったのか?お嬢は面白いなぁ」
またからかわれて、私の頬は膨れた。
「まぁいい。ゴールデンは俺にとってはベスト5の第4位だ。まだなくても許せるタイプだ。覚えておけ」
「なるほど、では1位から3位は何でしょうか?」
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