第2話 捜査一課で最も自由な男

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私は今後、この人からドーナツを買わされるかもしれないと思い、それとなく聞いてみた。 「まず1位はショコラフレンチ。子供の頃から食べてるからかな、これは外せない。次に2位はココナッツ・チョコレート。あの歯ごたえのある食感が堪らん。3位はエンゼルフレンチだが、まあここからは生クリーム系が入ってればエンゼルフレンチが無くとも怒らないから安心しろ」 「そうですか……因みに先程、食べながら会議を聞いていましたがあれには何か意味があるのでしょうか?」 「ない。さっきは腹が減って、ドーナツがすぐに食べたかったし、捜査会議にも参加したい。でもあの席で食べたら俺が浮いた存在になるだろ?だから部屋の片隅で食べた。それだけだ」 「そうですか……」 ――それでも入口で食べてたら、確実に浮くんだけどなぁ……… そんな事が頭に浮かんだが、すぐに疑問に思った。 入口で食べてたら否応なしに目立つ。 それなのに本多一課長を始め、管理職クラスの人達は誰も叱ろうとはしなかった。 猿渡管理官に至っては影原警部補を横目で睨みつける程度で、何も言うことはなかった。 管理職クラスが何も言わない。 これを意味する事は1つだ。 影原警部補はかなりの切れ者かも……… そう考えてた矢先、突然スマホの着信音が鳴り出した。 相手は係長だった。 「お疲れさまです。どうされました?」 「3人目の被害者の死体が見つかった」
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