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係長の一言に衝撃が走った。
私はスピーカーにして、影原警部補にも聞こえるようにした。
「場所は上野駅周辺だ。今、斎藤と草壁の班が向かっている。俺らの中から誰かを向かわせたいがどうだ?」
係長はいつの間にか私ではなく、影原警部補に話していた。
その影原警部補は自分のスマホを弄りながら断った。
「いやいい。成瀬と都築でいいだろう。新人にいきなり死体を見せて班の恥をかかせたくないし」
――はいっ!?
「そうだな。成瀬達には俺から指示しとくから、お前達は捜査を続行してくれ」
「了解です」
係長との電話が終わり、私は不機嫌な気持ちを堪えつつ、運転を続けた。
だけど、それが後ろからでも分かってしまった。
「気に食わないか?」
影原警部補が唐突に聞いてきた。
「えっ?いや、そんな事は……」
「だけど、これもお前の為に言っているんだ。それにちゃんと死体は見る。現場検証は成瀬らに任せればいい」
「………警部補は何をお考えなのですか?」
私は気になっていた事をこの際だから聞いてみることにした。
今更、第一被害者の皮が発見された場所に行っても新たな発見が得られることは多分ないと思ったからだ。
警部補は黙ってしまったが、すぐに口を開いた。
「まずは現場に行ってからだ」
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