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質問を返されたのが初めてだったのか、警部補は鋭い眼光を収め、意外そうに眉を上げた。
「興味深い」
「えっ?」
「お前以前に俺とコンビを組まされた奴はここで押し黙る。だけど、お前は質問を返した……」
そう言うと警部補は再び、その場で考え始めた。
私は邪魔をしない様に黙っているしかなかった。
しかしその考えもすぐにまとまり、影原警部補の口が開いた。
「皮を見つけたと通報したのは誰だ?」
「えっ?……あっ、はい」
突然、尋ねられ私はすぐにタブレットを開いた。
「えーっと……発信元は………荻窪となっております」
「そうか………よし、これからそこへ向かうぞ」
警部補はそう言って、車へ戻ろうと歩き出した。
私は急いでその後を追いかけた。
車に戻ると警部補は荻窪へ向かう理由を教えてくれた。
「多摩川から荻窪まで距離は長い。それなのに通報者は如何にして、ここに人の皮があるのを教えてくれたのか………」
警部補の問いかけに私は考え、すぐに思いついた。
「動画配信……ですか?」
「そうだ。つまり通報者が直接、ここに来てもいないし、皮も見てない。通報を受け、駆けつけた警官が言うには通報者がいない代わりに既に記者の1人か2人はいたらしい。今から俺達はその通報者にあって動画配信者が誰なのかを突き止めるぞ」
警部補の説明を受け、私はすぐに車を出した。
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