第2話 捜査一課で最も自由な男

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現場に行ったとされるYouTuberのURLを手に入れた私達ではあるが、時刻は既に正午を過ぎていた。 警部補が『Winter』という行きつけのカフェに連れてってくれた。 「食べろよ。ここのはみんな美味しいぞ」 影原警部補はメニューを私に渡した。 「えーっと、それじゃあ……………決まりました」 「そうか……すいませーん」 警部補は近くにいたウエイトレスさんを呼んだ。 「ご注文はお決まりですか?」 「ああ。俺は」 警部補が言おうとしたら、そのウエイトレスさんは 「影原さんには聞いてない」 とペン先を警部補に向けて即座に言った。 「あなたはエビと卵のピラフとアイスティー。ガムシロたっぷり。それから食後には店長の気まぐれシフォンケーキ……でしょ?」 ウエイトレスさんはニヤリとほくそ笑んだ。 「フッ、そうだ。それからこれを」 影原警部補はバックからタンブラーを手に取り、それをウエイトレスさんに渡した。  アニメ『エルちゃんの大冒険』の主人公、子兎のエルちゃんがデザインされた、可愛いらしいタンブラーだった。 どう見たって捜査一課の刑事が持ち歩く代物ではないがウエイトレスさんは不信感を顕にせずにタンブラーをもらった。 「熱々のミルクティーよね?」 「流石、灰谷夫人。あんたはいい刑事になれる」 「もう、煽てたって安くしないわよ。それでそちらのお客様は何になさいますか?」
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