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ウエイトレスさんは優しい笑顔を保ちつつ、私に聞いてきた。
「あっ、私はカルボナーラとコーヒー。ブラックで」
「かしこまりました。少々お待ちください」
メモを取ったあと、ウエイトレスさんは丁寧にお辞儀をして、厨房へと向かった。
「いい記憶力だ。刑事とはかくありたいものだな」
警部補は感慨深く頷いたが、
「警部補が毎回それしか頼まないから、覚えちゃっただけなんじゃないんですか?」
と指摘した。
影原警部補はムスッとしてしまったが、すぐに事件の話をし始めた。
「タブレットをよこせ」
「はい」
私はタブレットを机の上に置き、YouTubeを開くと、謎のYouTuberの正体を突き止めようとした。
ところがこのYouTuberは1人ではなかったのだ。
「このYouTuber、色んな人が動画を撮ってる」
「恐らく、グループだな。1人1人が珍しいものを撮影したり、バカやってる者もいるな。年齢は皆、20代前半。男3人、女が3人」
「グループ名は……『荒川大学ヨウツベサークル』」
「学生のサークルか……この中の1人が剥ぎ取られた皮を見たんだ。それ以外に何かを見た可能性が高い」
影原警部補は真剣な眼差しで『荒川大学ヨウツベサークル』が撮った動画を見つめていた。
私はそんな警部補に恐る恐る聞いてみた。
「あの……警部補。そろそろ真意をお聞かせ願えませんでしょうか?」
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