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「ねぇ起きてよ彩人。あなたが働けなくても、体が動かなくても、不自由でも、お出かけできなくても、何も出来なくていい、彩人さえいればいい、だから目を覚まして、私の名前を呼んで」  彩人が眠りについた時、思い切り泣いた、それ以来泣いていなかった。  久し振りの涙は、冷たくて、重くて、苦しい。  そんな言葉でも、涙でも、彼は起きない。  瞼が開かない、口が動かない。 「私の声、聞こえてる? 大好きなの。あのさ……彩人が言ってた話、覚えてる?」  そうだ。  二人で法務局へ、お付き合いの証明を提出しに行った日。  あの日もこんな雪の日で、彼は空いた手を空へ向けたんだ。
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