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『美咲、雪ってさ、冷たいのに暖かいよね』
『え?』
『大好きな人と見る雪って、こんなに暖かいんだね』
『そうかな?』
時々、詩のようなことを言う彩人。
見た目ではそんな人に見えないから、きっと驚かれるだろうなぁ。
でも、私には思いつかないようなことを話してくれる彩人が、とても大好きだった。
『俺たちは、法にハマれない家系だけど、飛び出したからもういいかなって思ったら、やっと雪の夜も、寂しくなくなった! 暖かくなった!』
『えっとえっと……よくわかんない、ごめん』
『これからは誰にも怒られることなく、ずっとずっとずーっと、一緒にいられるんだよ』
『うん、ずっとずっと一緒にいられるね』
『そしたら、雪の夜も寒くない!』
人目もはばからず、彼は私を抱きしめてくれた。
とても背の高い彩人、見下ろしてくれる瞳がまた美しくて、このひと時が本当に幸せで、嬉しくて、仕方なかった。
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