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「やはり見つからなかったな。時間も時間だ。加奈の元へ戻りるぞ」
地平線から太陽が顔を覗かせ、空が白み始めている。僕がこの光景を見たことがあるのは片手で数えられるくらいしかない。
「死んでから珍しいことを沢山経験してます」
「死んでも勉強だ。彰が言うと説得力がある」
「これからもまだまだ未知の体験がありそうですね」
「期待しておけ」
* * *
僕らは加奈の先回りをして、学校にいた。木の上で登校してくる生徒をゆったりと観察している。野球部やサッカー部の朝練があんなに早い時間からやっていることを僕は知らなかった。
「人間は何かを常に競い合っている」
「きっと喧嘩や暴力などが禁止された世界だからスポーツで戦っているんですよ。もちろん体を動かすこと自体を楽しんでる人もいますけどね」
平和的だとクロさんは暢気に言うと、校門に視線を移して登校してくる生徒を確認する。加奈は八時少し前に自転車で校門を通った。自転車を駐輪場に止めて、教室へと向かう加奈の後ろ姿を僕らは眺め続けた。
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