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さてと、どうしようか。部活動に入るつもりのない綺嶋は、初日のホームルームと施設紹介が終わると、荷物を持って教室から飛び出した。本来ならば、学校生活を円滑にするための友達作りをするためにもう少し居座るつもりだったのだが、そんな余裕はないし、もっと言えば、枠森に話しかける余裕はもっとない。綺嶋は美形だったが、女性に対する免疫が皆無なのである。
だから、作戦を練らないと行けない。まずは、彼女を観察しようと思ったのだが、気がつくと、彼女は消えていた。彼女が同じクラスなのは僥倖だった。今なら、奈良の大仏の足の裏にキスをしたっていい。まあ、それはおいおいやっていくとして、今必要なのは、綿密なプランニングだ。
試しにインターネットを徘徊してみたのだが、ろくな情報が載っていない。清潔な格好、誠実な態度、そして話しかける勇気……、馬鹿野郎!今彼が欲しているのはそんな事ではないのである。
じゃあ、どうするか?綺嶋が出した答えは、本屋で調べよう!ということだった。
学校の近くに大きな本屋が在って、近々行ってみようと思っていたから、ちょうどいいタイミングだった。
書店の門を潜り、店員にこんにちは。四階建てのビル型の本屋で、お昼時でも、そこそこの混み具合。早速綺嶋は、見取り図を確認し、お目当ての場所に向かう。
三階の一角にそれはあった。人間関係、恋愛のコーナーである。普段はそんなものを見て、誰がこんなものを買うんだろうなあ、と考えていた綺嶋だが、今初めてその気持ちがわかった。愛おしそうにその本の群れを眺め、次々と手に取り、中身を確認していく。
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