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「世界は回転をし続けているのに、僕だけがその回転に取り残されてしまっている」 自分を取り巻く社会になんの興味も持てなくなった時、それを孤独というのだろう。 けど君が望めばいつだって世界は自分の側に寄り添ってくれる。ありとあらゆる事象は意思が宿ってることに気づくこともできる。見知らぬ人も、役に立ちそうもない機械も、理屈の通らない理想も、きっとすべてに何らかの意思があって君に言葉を投げかけようとしている。 君がそれらのものから、何かを手に入れようとする限り世界は君を見捨てたりはしない。けど、君が山鳩の鳴き声や、山間の斜陽や、青い空に浮かぶ一筋の雲の郡に気持ちを傾けることが出来なくなった時、君は自分の世界の歯車が壊れてしまったことに気づかなければいけない。世界は常に君の側にいて回転し続けている。けど、君が望まないのであれば世界はいつだって君を置いてけぼりにすることだってできる。 そういう時は、目の前にいる大切な誰かの世界を覗き込んでみるといい。きっとその世界には君がその人を大切に思う分だけ、君の姿が映し出されているはずだ。山間の夕暮れや、青い空を見てる君を。 安い赤ワインと胃に流し込み、銘柄もよくわからない煙草を吸い続け、体を悪くした祖父が唯一僕に教えてくれた言葉がある。 長く生きたければ服従すればいい、存在し続けるためには戦い続けなければならない。俺は戦い続けている、と。今となっては祖父が何と戦っていたのかはわからないが、祖父は死ぬ間際まで酒とタバコをやめることはなかった。
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