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「……俺にはこいつらがいるんだ」
そして俺はスマホの画面を見せる。そこには、俺の大好きな2次元アイドルたちの姿が映し出されている。
「「「……はっ?」」」
「俺は彼女たちの大ファンだ。俺の人生の全てと言ってもいいくらい、彼女たちに全てを捧げている。彼女たちがいれば恋人なんていらないさ。だって俺は、彼女たちのものなんだから」
亮太たちはなにも答えない。俺は続ける。
「彼女たちのグッズは全て集めている。CDもDVDも全て初回限定盤を買った。それも複数!そして毎晩彼女たち一人ひとりが印刷された抱き枕と一緒に寝ている。合計7個だ!そして毎日、画面の中の彼女たちに話しかける!これがどういうことかわかるか?そう、愛だよ!彼女たちは2次元アイドルという業界内ではまだまだマイナー。彼女たちを少しでも有名にする為に、彼女たちの励みになるように俺がグッズを買い、抱き枕と寝て、話しかけることで貢献しているんだ。彼女たちのために!!」
……なんだか、亮太たちの表情が裕介の呪文を見た時みたいになってきてるのは気のせいか?
「彼女たちがいれば、俺はバレンタインが憎くもないし恋人も欲しくないんだ!むしろ邪魔なんだ!!」
俺が語り終えたときには、既に3人は目が死んでいた。
「おいお前ら、どうしたんだよ?」
「いや、俺も2次元アイドルは割と好きだしグッズも少しは買うし、湊の意見にも賛成できる部分は結構あるけどさ……」
「佐久間の彼女たちへの愛は、なんというか、その……」
「いくらなんでも怖い部類だぞ、佐久間湊」
気まずい空気が流れる。3人が俺を見る。俺は自分が異常であると告げられ、いたたまれない気持ちになる。
俺はこの空気に耐えられず、俺は家の外へ飛び出した。
そして一言、全力で叫ぶ。俺の愛が異常だと見なされた原因である、恋人を求めることが前提の祭典への恨みを。呪いを。
「バレンタインなんて、大っ嫌いだあああああああああ!!!!!」
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